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最優秀賞 |
「星」 |
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2018年、夫婦で伊豆北川で短い夏休みを過ごした際の出来事を作品にしました。前日からの台風接近、踊り子号の運休、訃報、午前3時……いくつかのトラブルと偶然の先には、この世のものとは思えない星との出逢いがありました。星が語りかけてきたように思え、それが何なのか、今も時折考え続けています。
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優秀賞 |
「朝霧高原のおちょぼ口」 |
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15歳の春三月、中学校を卒業すると新聞販売店に就職した少年は、地域に支えられ、時には地域を支える活動に参加しながら、60年間ほど懸命に生きてきた。その少年の命をつないでくれたのは、母のおちょぼ口である。
母は厳しい開墾地の生活環境の中で、少年が幼かった頃から農作業の合間を縫って鶏小屋に連れてゆき、生みたての生卵の先端に小さな穴を開けると口をすぼめて白身を少しすすり、残った白身と黄身を飲ませてくれた。
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優秀賞 |
「余韻」 |
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転校生の芽衣は、林間学校で訪れた伊豆でわさび漬けを試食したことをきっかけに、クラスメイトの真乃と話すことになる。
真乃は普段は目立たない生徒で、時々変な嘘をつくらしいという噂だけ芽衣は聞いていたが、一緒にわさび田を歩きながら話すうちに距離が縮まり、真乃が変な嘘をつく訳についてとある可能性に思い至るのだった。
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優秀賞 |
「花の色」 |
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下田でよく見かける花の一つに「アメリカジャスミン」というものがあります。開花して紫から白へと色が変わるこの花のように、変わっていく人や町のすがたを、それを取り巻く伊豆の風物とともに描きました。
伊豆という土地でも、文学そのものでも良いですが、この作品を読んだ方が何かに興味を持つきっかけになれば幸いです。
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優秀賞 |
「手引頭のブナ」 |
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天城の深山には、ブナの巨木が多い。ミキの太さと枝張りで最大のブナは、手引頭にある。その荘厳なたたずまいに圧倒される。神秘的ですらある。
心に傷を抱えた女子中学生が、父親に連れられてこの巨大ブナと対面する。そこで彼女が得たものとは・・・。
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優秀賞 |
「わさび」 |
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父に対する鬱屈した色々な感情が山葵沢の美しい光景に溶け込むことで浄化されていく様子を描写した掌編作品。
主人公の私は気づくと山葵沢で横になっていた。山葵たちに囲まれ、自分が徐々に山葵になっていくのを感じながら、父と山葵沢に対する複雑な感情を思い返していた。
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特別奨励賞 |
「フラッシュバック・サマー」 |
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高校生の主人公が中学時代よく利用した文化センターを見て当時を思い出す話。 「いっちゃん」という友人との会話を主とした回想でストーリーが進んでいく。いっちゃんとの何気ないやり取りの中、果たされることの無かった約束を思い出したところで現在に戻る。主人公は 約束を守ることができなかった悔しさや苦しさに、堪えきれず涙を流した。
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