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最優秀賞 |
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父の墓参りの折の会話をきっかけに、50年前のワンシーンがよみがえった。
単身赴任の父を訪ねるため、浜松に出て赤電に乗り換えることは、10代の私にとって大冒険だった。心細さと浮き立つ思いがない交ぜだったあの頃の自分に会いたくなって、今秋赤電の切符を手にした。同時に赤電の歴史を調べてみようと、遠州鉄道の窓口や駅員への取材旅行となった。
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優秀賞1 |
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沖縄出身の姉妹(姉は私の妻)と富士山に登る。
「やっぱり富士山は富士山だわ!」と感嘆する義妹に、戦後長い占領下に置かれた沖縄の人の祖国への屈折した思いを感じた私。
見る人によって富士は俗にも高貴にもなる、見え方の違う不思議な山だとあらためて思う。
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優秀賞2 |
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清流の川底につく珪藻類を食べて育つ鮎は、魚の中でも爽やかな香りを持っている。鮎の大好きな私が、道の駅「天城越え」で(アユの塩焼き)を屋台で売っているMさんと出会い、その味、串の打ち方、炭火の火加減に惚れ込み、食べたくなるとすぐに車を走らす。狩野川の澄んだ水の流れも私の心を捉えて放さない。
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優秀賞3 |
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家の近くの「まんさい館」には、たくさんの野菜が出荷されます。美味しいと噂になったトマトは、多くの人々が手に入れたいと列を作ります。私もその中の一人で早起きして列に加わっていました。ある時、みんなが競って手に入れようとするトマトの他にも味わい深いトマトがあることを発見し、嬉しくなりました。また、この場所で出会う農家の人には、新鮮な野菜を食べた時と同じ位、活力を感じ、なぜか楽しくなります。
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優秀賞4 |
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浜松市北区細江町に宝林寺という名刹がある。中国風な仏殿が国の重要文化財に指定されているが、その境内に五つの如来の石像が置かれている。その如来の表情が実に悲しみを帯びている。屋根も囲いもない場所に置かれた如来は、雨の日は雨にうたれ、霜の降る朝は霜にうたれている。如来は、人間の持つ業のような悲しみにじっと耐えているかのようだ。私は雨の中の五つの如来に向って手を合わせた。
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優秀賞5 |
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伊豆半島に行こうと決め、旅行ガイドブックを眺めて、「大室山」に初めて出会いました。第一印象は、正に「緑のプリン」でした。また、富士山と姉妹であり、姉の「磐長姫の命」を祭神としていることも初めて知りました。登って、妹の富士山を遠くに望みながら山頂を一周しつつ、姉の機嫌を損ねてはいけないと、妻も私も口を堅く閉じていました。伊豆文学賞メッセージ部門の案内を入手し、この感動を今回私なりの文章にして投稿しました。
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特別奨励賞 |
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源氏あやめ祭は伊豆長岡古奈に生まれたあやめ御前とその夫源頼政の供養祭です。3日間にわたり伊豆長岡町が大いに盛り上がります。その中でも私が注目したのが、地元の中学生の有志によるソーラン節でした。若さ故の力強い動きと純粋さを自分なりの比喩の仕方で表現できました。
この作品を機会に静岡県を問わず、全国の皆様が源氏あやめ祭に参加していただければと思っています。
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