しずおか文化のページ伊豆文学フェスティバル第17回伊豆文学賞入賞作品決定
文学のふるさと伊豆・東部をはじめ静岡県内を題材とする文学作品を公募した第17回伊豆文学賞の入賞作品が次のとおり決定しました。 表彰式は、3月2日(日)に伊豆市湯ヶ島の旧湯ヶ島小学校での「伊豆文学フェスティバル」として開催します。表彰式の後には、「伊豆文学塾」を併せて行います。内容は、伊豆文学賞の審査員を務める作家の嵐山光三郎さん、太田治子さんによる文学座談会の予定です。 フェスティバルの当日には、伊豆市の主催による関連イベント「伊豆文学散歩」も行われます。 (「伊豆文学フェスティバル」の案内はこちら)
江川文庫の資料が重要文化財に指定されたり韮山反射炉が世界遺産の候補になったりする時期に合わせて、坦庵公を書いた本作品が選ばれたことを嬉しく思います。 坦庵公は時代の一歩も二歩も前を行った人物で、私とは対照的だと思います。
これまで伊豆の美しい自然や豊かな歴史を舞台とした小説を数篇書いて応募してきました。日本の歴史の骨格となるような事件、事象を生起させてきた伊豆は、知れば知るほど不思議な魅力に満ち溢れています。これを少しでも紹介できれば幸いと思っています。
幕末、時代をリードした人間たちが伊豆において交錯した(もしかしたらあったかもしれない)一瞬をテーマとしました。江川太郎衛門英龍、坦庵の緊迫した晩年の一日を追うことで、現代日本にも通ずる組織と人間を考えてみたつもりです。
あまりこのような文章を書いたこともなかったし、文章を書くことが得意ではないので信じられませんでしたが、素直にうれしかったです。みんなに三島夏まつりに来てもらうきっかけになればいいなと思います。
三島の代表的なイベントである夏祭りは、三嶋大社周辺の町内を中心とし、町中が盛り上がるお祭りです。この文章を読んで、少しでも三島市や、夏祭りのことに興味をもったら、是非三島市に足を運んでほしいと思っています。三島市は、夏祭りだけではなく、まだまだたくさんの魅力があります。一度でも三島市を訪れ、その魅力をみつけてみてください。
今回は応募総数が多いこともあって、読みごたえのある粒の揃った作品が集まった。時代小説、太平洋戦争を背景としているもの、伊豆を舞台とした若者の人間模様を扱ったものなど、題材が豊富であり、いずれの作品も一生懸命書いていて誠実さが伝わってきた。 最優秀賞の「前を歩く人=坦庵公との~一日=」は、江戸末期から明治維新後の大変魅力的な時代・人物をよくまとめたものだった。それぞれの人物をもう少し掘り下げることが出来ればなおよかったが、字数の規定がある中では仕方がないだろう。通訳という立場について題材にしたところが大変に面白かった。今風に読者にわかりやすく書いた時代小説である。
自分が縁のある地域の文化・風習・ロマンなどを文章化する作品だけでなく、個人的な体験を強く強調することによってメッセージとする作品など、いろいろな角度からの作品があった。 最優秀賞の「三島夏まつり」は、接続詞をぎりぎりまで排した無駄のない文章がさわやかによくしまって、そこに祭りの音がのり、その音を生む若い生命の鼓動が読む者の体に響いてくる。三島夏まつりにはぜひ足を運ぼうという気持にさせられる快作だった。