しずおか文化のページ伊豆文学フェスティバル入賞作品のあらすじ

平成24年2月1日更新

ここから本文です。

入賞作品のあらすじ


入賞作品のあらすじ(作者自身による作品紹介)

◆小説・随筆・紀行文部門

  最優秀賞 
「敬太とかわうそ」(小説)
富士山の伏流水が南麓の敬太の故郷には上の川、下の川2筋の疏水となって流れる。灌漑用水の下の川は子供たちの川遊びの舞台でもある。昭和26年、棟割り長屋の新婚の誠は肺結核で入院し、新妻の敏枝は義母と退院を待つ。八月旧盆の日、敬太は下の川であったかわうそのテレパシーで「川の住民会議」を夢で見た。富岡の稲刈りを待って市民運動会が催された。敬太の無くした賞品のクレヨンで、六天使は人々の暮らしを美しく彩った。子兎の餌を刈る冬の川岸で、次の季節へ待機するかわうそや川の生物たちの生命の営みを敬太は思う。翌年、小学生になった敬太は、帰途さまざまな道草を食って新しい故郷を発見する。潤井川の中州の掘立小屋に住む少年のこと、誠さんと離縁された敏枝さんの幸せのこと、伴侶と子供を得たかわうその将来のこと、敬太の手に負えない難題ばかりだ。敬太は日曜教会の神さまに、ヨイトマケの掛け声を声援にしてその救いを祈ったのだ。
 
優秀賞
はな  すみか
「花の棲家」(小説)
圭介は金策をせねばならなかった。四十路でありながら、転職を重ねて収入は上がらず、離婚の慰謝料を払ったばかりで懐具合がいたって寒い。そんな状態で、八十を越えた母サヨに温泉旅行をねだられた。エリートの長男に比べられ、つい腹を立てて安請け合いしてしまう。離婚したばかりの妻や、サヨをリフォーム詐欺でだました叔父貴のところへねじ込み、わずかな金銭を得、サヨを車に乗せて熱海へ無理矢理旅発つ。旅先では認知症の兆しのあるサヨのマイペースぶりにふりまわされ、圭介の奮闘努力のかいもなくすれ違いが多い。ついに圭介は怒りを爆発させる。サヨの自慢である出来の良い長男は、リーマンショックの後米国で自殺していた。その事実を圭介は老いたサヨにたたきつけてしまう。母に対する愛情と相反する憎しみに、母親を亡くしたばかりの中年の芸妓とのかかわりなどを通じて、やがて浄化の春が訪れる。
 
佳 作
「YAMABUKI」(小説)
初夏の狩野川河口に立ち、かつての狩野川台風の洪水を、311の東日本大震災に重ねて想起している男がいた。東京近郊から郷里の伊豆大仁に帰り、一人でハンドメイド自転車の工房を開いて独立しようとしている直斗だった。農家の次男に生まれて、じきに四十歳、離婚歴一回、多少語学ができるという、クラフツマンとしてはやや変わった経歴のこの男は、震災で被災したわけではないが、華々しく仕事を始める気になれないでいる。そんな折、直斗は、被災地から一人流れてきて、修善寺の小洒落たバーに落ち着くことになった女、マヤと出会う。不思議なオーラを放つ彼女に直斗は惹かれるようになり、狩野川の水難者を供養する大仁の「川かんじょう」の日に、彼女とともに、生と死と性を結ぶ忘れがたい体験をする。秋風が吹き始めた頃、ようやく、最初の一台を作り上げる気になった直斗は、地味で手間のかかる作業に手をつけた。

 いずほりごえごしょいぶん
「伊豆堀越御所異聞」(小説)
室町時代中期、関東での争いを収めるために幕府が派遣した鎌倉公方足利(あしかが)政知(まさとも)の執事上杉教朝(のりとも)が伊豆で自害した。将軍足利(あしかが)義政(よしまさ)は、後任として教朝の子上杉政憲(まさのり)に全権を与え送り出した。政憲は伊豆に到着すると、隠密土方(ひじかた)刑部(ぎょうぶ)に探らせて父の死の真相を掴もうとする。そして単身関東に乗り込み、若き日の太田道灌(おおたどうかん)に出会う。意気投合したふたりは終生の友として盟約を結ぶ。父を死に追いやった奸臣(かんしん)渋川(しぶかわ)義鏡(よしかね)を弾劾した政憲は、道灌と諮り乾坤一擲の戦をしかけるが、総大将に担いだ上杉房顕(ふさあき)の急死により頓挫する。そんな折、駿河の太守が戦死した報が入る。後継者争いに自分の孫が関わるため介入に躊躇する政憲だったが、主(あるじ)政知の命で道灌と駿河へ出陣、伊勢新九郎(北条早雲)と和議をまとめ、孫を国主の座につける。関東でも、政憲が交渉役となり和睦を成立させるが、不利な条件を呑まされた政知の怒りは長く尾を引いて、嫡子の廃嫡問題で諫言した政憲に切腹を申しつける。太田道灌の暗殺や駿河国主の座をめぐる争いで親しい者を次々に失っていった政憲は、主の前で壮絶な死を遂げる。

◆メッセージ部門

  最優秀賞 
「新幹線の車窓から」
新幹線の車窓から見た静岡の美しい自然や街の素晴らしさを題材に作品を書いてみました。伝えたかったことは「のぞみ」ではなく、県内各駅に停車する「こだま」だからこそ発見できる美しい風景、味わえる楽しさがあるということです。
作品を読んで、静岡を訪れたいと思っていただけましたら幸いです。
 
優秀賞
「遠い裾野」
静岡県のいちばん西に位置する町それが湖西市だ。この湖西市にある湖西連峰に登るとはるか遠くに富士山が見える。私は湖西連峰の中腹にある仏岩に座り富士山を眺めながらいつも夢想する。宝永4年富士山は噴火し夥しい灰と溶岩を静岡県の各地に飛ばしたことだろう。その一部はここ湖西市まで辿り着いたかも知れない。とすると湖西は富士山の最も遠い裾野ではないか・・・。私はさらに想像の翼を羽ばたかせる・・・。
「懐かしい町 伊東」
伊東は海あり山あり温泉ありの風光明媚なゆったりとした町です。この町を愛した文学者も多く沢山の文学碑があり、眺めながら歩くのも楽しいものです。海に面しているので採れたての魚介類は新鮮で美味しく値段も手頃なのが嬉しいです。少し足をのばせば可愛いペンションが立ち並び、美しい美術館や博物館もあり、カフェやレストランもあるおしゃれな町並みになります。新しい町・古い町、共存している伊東です。
 
「連れあって札所めぐり」
  「伊豆にも八十八ヶ所の札所があるんだって?」。そんな友人からの一本の電話が、ジジ、ババ、三人連れの札所めぐりの発端になった。カーナビ頼りの物見遊山的な気分で始まったが、質素で素朴な佇まいの無住の寺や、雨風に朽ちかけた本堂の軒先のひとつひとつが、何故か心を落着かせる。先を急いでばかりいる毎日の生活の中で失ったものが幽かに見えるようになった。そして少しだけ優しくなっていく自分に気づく。
 
「惚れてしまった沼津さんへ」
  8年前、故あって田舎の家を離れ、寄る辺ない身で辿りついた沼津…そこで目にしたものは私の心身を癒やしてくれ、生きる力を授けてくれるものだった。それは、かつて遠い田舎の鉄橋から見た小さなものとは比べようもなく雄大な富士山の姿であり、また、幼少の頃のおぼろげな記憶の中の怖くて暗い海とは違い、キラキラと陽光輝く広い海であった。これらの宝を持ち合わせているご当地の皆さまにそれを再認識してもらいたくて・・・。
 
「湖西連峰の山寺跡」
  浜名湖北西部の湖西連峰に、平安時代に栄えた山寺跡があります。
そこへたどりつくまでの道中で、山の自然の景色にみとれ、心地よい音に耳をそばだてます。山おじさんや、山おばさんとのふれあいも、ほのぼのとしていて、楽しいひとときです。家族と気軽にハイキングを楽しめる、湖西連峰の魅力をつづりました。
  特別奨励賞 
 
「弓ヶ浜での思い出」
     当時小学二年生だった私は、親と一緒に弓ヶ浜海水浴場を訪れました。そこで初めてボディーボードをしました。きれいな海や白い砂浜に魅了され、また海に行きたいと感じました。夜は近くにあるいとこの家に泊まりました。夕食には伊勢海老、さざえ、かきなどの高級食材が並べられていて驚きました。翌日も海へ行き、ボディーボードをしました。私は伊豆の自然が大好きになり、それから毎年訪れています。


伊豆文学フェスティバル実行委員会事務局
静岡県文化・観光部文化局文化政策課
〒420-8601 静岡市葵区追手町9番6号
電話番号:054-221-3109  FAX:054-221-2827  E-mail:info@izufes.net

しずおか文化のページ伊豆文学フェスティバル入賞作品のあらすじ