しずおか文化のページ伊豆文学フェスティバル入賞作品のあらすじ

平成23年1月24日更新

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入賞作品のあらすじ


入賞作品のあらすじ(作者自身による作品紹介)

◆小説・随筆・紀行文部門

  最優秀賞 
「はよう寝んか 明日が来るぞ」(小説)
 昭和34年。日本は欧米先進国に追いつけ追い越せとひた走っていた。 その年の夏、川根に住む鴨一(おういち)は新聞を読むために山を下りていくが、同級生の玄海の家の前で島田に住むひとつ年上の富士子に出合い、心引かれる。これからは教育だ。高校だけは出ておけと先生から言われていたが、鴨一は決めかねていた。貧しかった。1年前に大井川の筏下しは途絶えていたが、元筏師だった鴨一の父と富士子の父が筏作りに挑んでいた。
 そのひたむきな作業を見詰める鴨一と富士子と玄海。この3人の若者が筏に乗せてほしいと願い出る。5人は暴れる大井川を筏で下っていく。そこには幾多の困難や危険が待っていた。焚火を囲みながら玄海との友情、富士子への熱い思い・・・。5人が力を合わせ心を合わせて筏はやっとのことで島田に着く。鴨一は母のために駿河湾の浜辺で白くて丸い石を探して家路へと急ぐ。
 
優秀賞
「空を飛ぶ男」(小説)
 岡山で表具師をしていた幸吉は、竹で鳥状のものを作り何度も空を飛び、世間を騒がせた罪で岡山城下を所払いとなる。幸吉は「空を飛べ」という内なる声に悩まされていた。
 飛んだ後、声はおさまり、郷里の八浜に帰ったあと、幼馴染の廻船に乗せてもらい駿府に移る。そこで木綿屋を営み繁盛すると、養子に店を譲り、自分は「備考斎」という入れ歯と時計修理の店を営む。そして町名主からのちに妻となる千代という女を紹介され通いで家事をしてもらう。
 ある日、「空を飛べ、空を飛べ」という内なる声が再発する。悩んだ末、千代と自分のために再び空を飛ぶことを決心する。今度は岡山よりはるかに高い山の中腹から飛んで、内なる声をしずめることに成功する。しかし、神聖なお山を冒涜した罪でまた捕縛され所払いとなる。飛んだ後、声はしなくなり、妻となった千代の手をひいて遠江の国へ旅立つ幸吉の顔は晴れ晴れとしているのだった。
 
佳 作
「鬼夢」(小説)
 夢に現れた鬼はわたしに言う。
 「殺してしまいたくなるか自分が死にたくなるか、どちらかになる」義理の姉へ仕返しをするために、義母の介護はわたし一人で背負い込んだ。伊豆大仁の自宅から見る絶景は、既に意味を変えている。夫はねぎらいの言葉さえくれない。
 孤独の増す晩秋、わたしは新聞配達の青年に出会い昂揚を覚える。青年とわたしは一匹の子猫を介し心をひとつにする。しかし子猫は義姉に奪われ、青年との別れは近づき、わたしの思考回路はついに切り替わる。反旗としての義姉への告白。その直後に発覚した夫の不倫。夫をかばう義姉は、わたしに許しを懇願する立場に変わる。その義姉の提案で、わたしは欠席するはずだった東伊豆の同窓会に行く。会が終わり、義姉と家族が待つ海辺の旅館に入る。消灯後、鬼に誘われたわたしは旅館を抜け出し、荒波に向かい歩みを進める。

「河童の夏唄」(小説)
 ある夏、泰三は家の事情で河津に引っ越しをする。
 新しい家の近くには河童の瓶で知られる河童寺や相撲の河津掛けを工夫した河津三郎に縁の神社があった。泰三は地元の小学校に転入し、ガキ大将の鬼ヤンと友達になる。
 ある日、泰三は腕白どもに挑発され服を着たまま川に飛び込み、溺れ、上級生の伊豆野夏江に助けられる。泰三は夏江を想うようになる。鬼ヤンも夏江を好もしく思っていた。二人は決闘することになる。早朝、二人は河童淵で対決、組み合ったまま淵に落ちる。
 夏の終わり、泰三は夏江と二人だけで沖合に泳いだ。その思い出を胸に泰三は東京に戻る。以後、泰三は夏江と会っていない。夏江はアメリカに留学、現地で結婚、家庭を持った。夫に先立たれ、自立した子供たちと離れ、ハワイに猫と暮らす。間もなく河津に帰ってくる。このことを鬼ヤンから聞いた泰三の胸に少年の日の夏が懐かしくよみがえる。振り返ると人生は一夏の夏休みだ、と泰三は思う。

◆メッセージ部門

  最優秀賞 
「レアイズム」
 自然との会話がいくらでも成り立つ伊豆。人と自然が寄り添うとき、そのどちらもが健やかになれます。秋は夏を含み、夏は秋を見届ける。季節には糊代のようなものがあります。もし人生にも糊代があるとすれば、旅はそのひとつに違いありません。伊豆半島形成と竹取物語、伊豆で出会う動植物、伊豆の四季など、レアでリアルな伊豆を紹介します。
 
優秀賞
「高天神の町」
 私の町には高天神城という城の跡がありす。戦国時代の山城でした。私はこの城が大好きなので、自慢として、アピールとして書いていくことにしました。美しく豊かな自然、澄んだ空気・・・。作品中、「神秘的」という言葉を何回も使ってしまいました。言葉ではうまく言い表せないくらい美しいのです。町ではこの城にまつわる行事なども多くあります。それも私の町の自慢ですし、そんな町が私は大好きなのです。
「ある日の出来事」
 私の毎日は静岡のよさで包まれています。美味しい食べ物たちはもちろん、温泉やお祭り、茶畑、そして日本一の富士山も、みんな静岡の素敵なところです。だけど何より一番いいところは、この穏やかでのんびりした雰囲気、あったかい人たちばかりなところなのです。そんないいところたちが私の一日、一日にいっぱい詰め込まれています。こんなに幸せな私の毎日の、とある一日の話です。
 
「友情と伊豆」
  伊豆に住むTさんと私は、青春時代を戦争の真只中で過した学友であり親友です。以来六十余年、長い人生の起伏を乗り越えて深い絆で結ばれております。私達の友情に夫も自然に溶け込んで思い出を一杯共有しました。その夫が昨年他界しましてから改めて過去を振り返り、伊豆を哀しい程なつかしく感じます。友情と伊豆に感謝します。
 
「懐ひろ〜い」
  静岡県は全国的に知名度が高いほうだろう。しかし、他県の人たちが静岡県を語るのを聞くと、思わず膝を打ったり、なるほどと頷いたり、首を傾げたりすることもあり、その多様性がまさに静岡県の奥の深さと懐の広さを物語っている。異国住まいの現在の私だが、県出身者として、静岡県の確固たる存在感を誇りに思い、エールを送った。
 
「おだっくいの国、シゾーカに行かざあ」
  シゾーカといやあ、何といってもシゾーカ弁が一番ずら。言葉が希薄になってしまった現代にこそ、方言を復権させなくっちゃあ。方言て、恥ずかしいんか? そんなことないら。地方文化の維持に貢献できるじゃん。だからさあ、できるだけふつうの町を自分の足で歩いて、お年寄りに声をかけてごらん。きっと、シゾーカ弁で答えてくれるずら。シゾーカにはシゾーカにしかないもんがある。それを見つけるために、行ってみざあ。


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